血なまぐさい時事ネタを二つ(追記修正5日・6日)

 どうもまるで更新ができていませんでしたが、とりあえずあまり考えずに書ける時事ネタです。一つはイスラエル/パレスチナのこと。ご存知のとおり、ここ数日のイスラエルによるガザ攻撃で百人以上の死者が出ましたが詳細は専門のページやニュースで。*1
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 もう一つはエクアドル領内のゲリラの基地の襲撃にはじまるコロンビアと周辺諸国の対立ですが。こちらもニュースを。 
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 どちらも詳しくはBBCを見てください、別にBBCが際立って公正で事実を丁寧に報道するわけではありませんが、正直言って日本のニュースは実にテキトーにかかれてますから。あえて毎日から例を挙げればこれとか

http://mainichi.jp/select/world/news/20080303dde007030060000c.html

 ある男性(47)は「イスラエル軍に報復されてロケット弾攻撃の代償を払うのは武装勢力ではなく、我々だ」と憤りを口にした。

 このような発言があったことは疑えないし、ちゃんとレポートしたことは評価しますが、イスラエルが暗殺作戦で容赦なくハマスなどの幹部を殺していること考慮に入れればまるで引用の意味はおのずと異なってきます。テロリストと無辜の住民を分ける恣意的に分けることで、イスラエルの行動を正当化する役に立っているとは言えるでしょう。ハマスが選挙で選ばれたことすら忘れているようで。こっちはBBC*8

 ラテンアメリカ関係はもっとひどいんだけど(明らかに記者に問題が)、そもそも三ヶ月前の記事が保存されていないので省略。とりあえずベネズエラ国民投票否決についての日本語の記事はこれ。*9最低、反対派ほとんど得票を増やせず、チャベス派の棄権が最大の敗因だったことは押さえてほしいです。「Economist」ですらこの辺をきちんと考えて書いていない。*10私の参照のページなどは以前の記事を。*11

 とりあえず、今回の一連の対立は日本の報道ではほぼわからないけれどコロンビア側の行動がはっきりと先にあることは指摘しなければいけません。

http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/52344289.html
 なにはともあれこのエントリーを引用したかったわけです。最初に見たときに比べると、ずいぶん内容量が増えているのは基本の構図と(まともな国際法の常識)を日本人がさっぱり理解していないことを知って付け加えたものでしょう。コロンビアのウリベ大統領は、私は極めて批判的ですが、バカでも軽挙妄動するタイプでもない。そもそもの背景は、先年から続くFARCとの人質解放交渉でベネズエラが一定の人質の解放に成功をしていることにあります。*12
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 この状況は、仲介を要請しながらすぐに喧嘩別れになったコロンビア側には極めて痛いわけです。そのような成功は犯罪者を利しているだけだと批判もできるでしょうがここでその是非は問いません。しかし、FARCの交渉担当者を狙っての越境軍事作戦はこの事態が続くことを阻止することを意図し、結果としてそうなり、軍事的にもFARCに対する優位を手に入れました。*16だが同時に侵入されたエクアドルとの関係を悪化させることは初めから確実だったわけです。それでもあえてやったのことに、軍事力を背景にしたコロンビア政府の意思が見て取れます。ベネズエラに対する「麻薬戦争」や「反テロ戦争」への非協力、さらにはFARCとの協力しているという非難は2月には現れてきていました。そうみると今回の攻撃での「発見」にはコロンビア側に「当然のこと」であるわけです。
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 問題はこのコロンビア側の本気さ(軍事力は圧倒的に上ですから)を、ベネズエラエクアドル側、特にチャベス大統領、がどれだけ踏まえているかが気がかりです、このコロンビア側の本気さの判定においては欧米のメディアもいささか楽天的に過ぎるようです。とはいえ、通常ならエクアドルは屈服する(かさらに悪い結果)しかなかったでしょう*20
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 ともあれコロンビアの準軍事組織と政府の癒着は厳然とあ利ます。人質解放が内戦を終結させるのにどういう役割を果たせたかは微妙ですが、人質の解放が止まるのだけは確かでしょう。まあ、日本人は好き勝手な思い込みを喋っていればいいですが。

 もう一つ、今回のガザ侵攻に当ってのイスラエルのマタン・ビルナイ副国防相

カッサムロケット弾がさらに撃ち込まれ、遠くまで着弾するようになれば、パレスチナ人はわが身のうえに大規模なショアーホロコースト)を引きよせることになるだろう。

 という発言です。*22 
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 これ自体絶句するようなものですが、イスラエル政府の弁解は輪をかけてひどい、「この言葉でジェノサイド意味してはなっかった」ですから。ホロコーストは第一義的にはナチスによる虐殺と絶滅政策総体(もしくはその中のユダヤ人の抹殺)をさします。転じて類似の大惨事を形容するのに使われますが、「ショアー」は特にユダヤ人にとってのナチスの絶滅政策を意味します。もしこの言葉が、虐殺を意味していないとすれば、イスラエル政府の主張していることはホロコースト否定論とほぼ同義ということになるでしょう。イスラエル政府の見解がホロコースト否定論とは…。だとすればハマスのこれなんて穏健なものです。*25
 事実上のホロコースト否定論にイスラエルが侵食されているとすれば深刻な問題でしょう、それはファナティシズムによるというよりはむしろ「現実主義」によるものです。このようなし崩しの事態の進行は今後も続いていくでしょう、それは私たちのことでもあるでしょう(って防衛大臣は一応辞めたね)。とはいえ、イスラエル国民のかなり多数がハマスとの停戦交渉を望んでいるのはほっとすることです、ハマス側はすでに停戦交渉を求めていますし。にもかかわらず政府が独走するとすれば、議会制民主主義にとっても深刻な問題になるでしょう、これも私たちにとっても問題であるはずですが。その点も日本は気楽なもんです。*26

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080301-00000006-jijp-int.view-000

 まあ否定論にも寛容ですし、度量が広いというか

 追記5日
 コロンビア政府のその後の主張は私にはどうにも荒唐無稽に思えます。
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 問題は戦争というのは一方が意思を貫徹すればそれで起こせてしまうことです(程度の差がありますが両者で非対称は特徴です)。地域諸国の間ではコロンビアへの批判が強いのでそれが現在のところ歯止めにはなるでしょうが…。

http://blog.goo.ne.jp/bokushi2235/e/d4c5385b1133c7ea4703a66a038797a8
 国内の問題を念頭に書かれたエントリーですが、基本で関係があるのでリンクします。

追記の追記5日

 いしけりあそびさんの追加のエントリーが来ました、こちらにリンクなさってます。一応言い訳を書きますと最初のエントリーに私がこれまで付け加えたのは、日本での反応があまりにパターン化しているのでそれにうんざりしたからです。で肝心のそもそもコロンビア側に違法性とあえて事を荒立ててまでそれを行う背景があったということはまるでなかったので。

http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/52360526.html

http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/52364962.html
 日本とははまるで違うということで。ところででこの新聞記者の方ってY新聞で今イギリスで北アイルランドについて健筆を振るっている方でしょうか?FARCについてのチャベス大統領の発言は2月末に4人の人質解放があったのですから今も交渉相手で、リップサービスが過ぎたというところではないでしょうかいかにもまずいですが。

 さすが日本以外ははだいぶ冷静なようです。それにしても、ウリベ大統領がチャベス大統領を国際刑事裁判所に告訴って、それは薮蛇でしょうとしか言いようがないのですが。*29  
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 今回やや先走って書いてしまったのはちょっとこれを読んだときのことを思い出したからです。というわけで追記でした。

サッカー戦争

サッカー戦争




 とりあえず

さらに追記のリンク・6日
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/52376489.html
 かなり手際よくOASではまとめが行われたようです。


http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080305/p1

いい加減うんざりだけど追記・6日

http://mainichi.jp/select/world/news/20080306k0000e030014000c.html
 さすがにここまでぬけぬけ書くのは感心しました、早く栄転してください。*33

追記・8日

 ラテンアメリカの問題のほうはひとまず落着したようです、

http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/52404991.html

http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7284597.stm

http://www.afpbb.com/article/politics/2361292/2713439
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.afpbb.com/article/politics/2361292/2713439
 私も気づかなかったけど、合衆国はリオ・グループに入っていませんよ。


 中東のほうは…。


 

*1:http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2359247/2699300

*2:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7273821.stm

*3:http://0000000000.net/p-navi/info/news/200803032354.htm

*4:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7272329.stm

*5:http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7276228.stm

*6:http://www.afpbb.com/article/politics/2359189/2698726

*7:http://www.afpbb.com/article/politics/2359550/2698875

*8:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7273821.stm

*9:http://www.diplo.jp/articles08/0801-2.html

*10:http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=10251226

*11:http://d.hatena.ne.jp/NakanishiB/20070117/1169027065

*12:http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2334801/2512799

*13:http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7181706.stm

*14:http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2356930/2686786

*15:http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7268257.stm

*16:http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7273320.stm

*17:http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7198768.stm

*18:http://www.guardian.co.uk/world/2008/feb/03/venezuela.colombia

*19:http://www.venezuelanalysis.com/analysis/3122

*20:http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7275821.stm

*21:こちらはそうでもないhttp://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7276308.stm

*22:訳は http://0000000000.net/p-navi/info/news/200803011745.htm

*23:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7270650.stm

*24:http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7272329.stm

*25:http://news.yahoo.com/s/afp/20080301/wl_mideast_afp/mideastconflicthamasmeshaal_080301153241

*26:何か続報があれば補足します

*27:http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/04/venezuela.colombia

*28:http://www.cnn.co.jp/world/CNN200803040007.html

*29:http://commentisfree.guardian.co.uk/conor_foley/2008/03/a_widening_crisis.html

*30:http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/mar/05/colombia.venezuela

*31:http://www.cnn.co.jp/world/CNN200803050003.html

*32:http://www.news.janjan.jp/world/0708/0708010168/1.php

*33:http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/52364962.html