]「水俣から伝える」展示/授業/演劇

 どうも、久しぶりに更新です。それもこれまで三回連続のネタでなくです(^_^;)。
とはいえ宣伝ですが。一週間後と急なのですがCUATORO GATOSは一年ぶりの上演をします。前回は宣伝できなかったので事実上2年ぶりの上演です。基本的なコンセプトはおととし水俣で行った上演の東京での再演です*1。同じく水俣の胎児性水俣病患者の支援グループ〈ほっとはうす〉の企画の一部として上演いたします。参加は基本的に無料ですのでぜひお越しください。以下情報を貼り付けます。

   水俣から伝える」展示/授業/演劇


   2008年11月29日(土) 15:00〜19:15(19:15から交流会あり)無料

 人類史上、最初で最大の生命破壊・環境破壊である水俣病事件は、「公式確認」から52年を経て、「終わり」を強いる諸力に直面しています。事件を歴史・記憶から忘却・抹殺しようとする諸力です。しかし、当然のことながら、事件は終わっていません。それどころか、いまなお被害と加害(とその相互交換性)の全容は(法的、社会的、医科学的、哲学的に)解明されておらず、被害(者)への補償はあまりにも不十分なままです。そして何よりも、私たちは「水俣病とは何か」という問いに対する答えをもっていないし、そもそも問いを問う入射角さえ見定められずにいます。
 ありとあらゆるものを商品化の対象とする、徹底した市場主義としての後期資本主義社会においては、生命・身体も露骨に商品となっています。また、環境破壊の進行は人間社会の存続を根底から脅かしています。これらは水俣病事件の現在的展開の一側面と言ってよいでしょう。つまり、水俣病事件は終わっておらず、問題はさらに複雑化、混沌化し、私たちの生きる生そのものとなって、社会を全域的に覆っているということです。

 胎児性水俣病患者は、水俣病事件史を背負いながら「いま・ここ」の生を生きる存在であり、水俣病や「いのち(の連綿性)」に対する不断の問い返しの必要性を私たちに訴えかけてくる存在です。彼女彼らは表象され、ある意味の秩序へと回収されることが決してないような、常にすでに余剰や残りであるような存在です。(だから、つまりは、こうした言表自体がすでに常に破綻へと追い込まれるのだろうということ)。

 だからこそ、いままさに、またしても、あるいは新たにここから、私たちは胎児性患者の訴えかけに応えていく必要性を強く感じずにはいられません。そうして「終わり」を強いる諸力に抗いながら、胎児性患者とともに(「ともに」がどのように可能なのかを考えながら)水俣病事件やいのちへの問いを問い始めなければならないと感じます。

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 以上のような問題意識にもとづき、CUATRO GATOSは、胎児性水俣病患者の自立生活・活動の場である〈ほっとはうす〉、倫理学・哲学の観点から水俣病事件を研究している〈中央大学法学部細谷ゼミ〉と協働して、今回の『水俣から伝える 展示/授業/演劇』を企画しました。〈ほっとはうす〉とCUATRO GATOSは「公式確認」50年の節目である2006年、水俣にて最初の合同公演をおこなってから、2年ぶり2回目の公演となります。そして今後も引き続き、水俣「からの」表現の可能性を探っていきます。
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 つきましては、下記情報をご参照のうえ、ご多忙の折とは存じますが、ぜひご来場くださいますよう、心よりお待ち申し上げております。


◎プログラム ※各プログラムの開始時間はおおよその目安であることをあらかじめご了承ください。


●15:00〜 ほっとはうす「水俣病を宝物として伝えるプログラム」

〈ほっとはうす〉は水俣病患者の自立生活や生きがいを求め、水俣病患者の一人ひとりのニーズに即した、総合的支援のネットワークを構築しています。その重要な活動の一つとして、水俣からの情報発信があります。今回はメンバーのほぼ全員が上京し、「きぼう 未来 水俣」を語ります。
*〈ほっとはうす〉とは=胎児性水俣病患者の人たちが長年積み上げてきた思い、「社会とつながり働いて生きる」ことを実現する場であり、もっとも大切な活動としては、水俣病を伝えるプログラムがある。水俣の中心街に喫茶コーナーを設け、気楽に立ち寄れる場所として地域に開放している。障がいをもつ人の、あらゆる人権の確立を訴える。「施設ではなく、地域で生きる」は、重要なコンセプトである。
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●17:30〜「詩朗読」
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●18:30〜 ほっとはうす+CUATRO GATOS第2回演劇公演

『rest/labor 2 胎児性患者からのメッセージ 今、希望のあるところから』
原作:加藤タケ子 演出:清水唯史 コーディネート:細谷孝
出演:ほっとはうす=加賀田清子、金子雄二、長井勇、永本賢二、松永幸一郎、ほか
   CUATRO GATOS=田中紀子、宮下直紀、中西B、ほか
スタッフ:清水基、葛巻欣久、真島大栄(BLACK STAGE)


◎会場 地球環境パートナーシッププラザ:GEIC
表参道駅東京メトロ銀座線、千代田線、半蔵門線)から徒歩5分
*渋谷駅(JR、東急、京王井の頭線東京メトロ)から徒歩10分
東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル1F
TEL:03-3407-8107

 http://www.geic.or.jp/geic/


 なお、お問い合わせは演劇グループCUATORO GATOSでも承っています。

 http://www.cuatro-gatos.com/theater/


 

映画芸術 2008年 11月号 [雑誌]

映画芸術 2008年 11月号 [雑誌]

 水俣を長年撮ってこられ、今年亡くなられたドキュメンタリー監督土本典昭さんのとても充実した追悼特集が組まれています。ぜひご参照ください。

 ようやくちゃんとした情報が公開できるので、急いで貼り付けてエントリーにしました。中身が薄くてすいません(^_^;)。なお雑誌のほうは来月以降になります申し訳ありません。
 あと、これは私個人の私見ですが、なお最近、ブライアン・デ・パルマの「リダクテッド」を見たのですが、あの作品が成功しているかどうかはともかくとして、基調の部分で非常に近い問題意識で作られているのではないかと思いました。それは映画を見ておられたら、このエントリーの注にリンクされた前回の上演の報告を読んでいただければわかるかと思います。ドキュメンタリーの上演とフィクション(フェイクドキュメンタリーだけど)という違いにもかかわらずある問題だと思いました。ま、500分の1の予算でやってますが。

 さらにまた追加で情報を出せれば出すつもりです。