ありゃりゃ(19日追記)

 どうも、新年早々、というにはもう遅いですが、某所で粘着しています*1 。まあ、私的にはトップに一貫してあの写真を出している以上遅かれ早かれどこかで起こすことだったのですが。で、こういうことは伝わるもので、書き込みで紹介したページの方が見られてるんですね、でそのことを記事にされたと*2。でこれはどういうことかというと、要するに私が批判した人名の粗雑な引用を私もしたということになるかもしれません。もちろん、見られている覚悟はしましたが。でも、稲葉さんの『経済学という教養』や、『「資本」論』、あるいは『モダンのクールダウン』といった最近の著作やネットでの活動を知らないとなにがなんだかに見えるんだろうなと。でも、うまく紹介できないなー。ただ、一つ「サバルタン」というのは元記事の文脈で出てきているのでもちろんチャベスのことではありえませんが、そこは元の記事を単独で読めば分かるようになっています*3

経済学という教養

経済学という教養


 で、とりあえず私の考えは基本的こちらのエントリーの続きです*4。そこで念頭においている、稲葉さんの考え方を手っ取り早く知るにはこれが一番だと思うのですが*5

 そんで私が紹介したページは最初に紹介したブログのこちら*6、まあ、ブクマのお気に入りから行くようになったのですが、後でこの本の著者の方だとわかりました*7

ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」

ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」

 ラテンアメリカ音楽専門誌の「ラティーナ」に連載されていた文章をまとめたのだそうです、基本的には、ラテンアメリカからの労働者などの弁護に当たっておられる著者ので遭遇した出来事についてのコラムです。最近、ちょっとはやってる在日外国人社会を舞台にした某マンガ(私もコンビニで立ち読みをしてます)なんか好きな方もどうぞ。この本についてはまた書くかもしれません(障害者自立支援法で日本もペルー並みになるのだろうか)。

 まあ、私がラテンアメリカのことに強く関心を持つようになったのは意外なことに、塩川伸明さんの『終焉の中のソ連史』で触れられていた、トロッキー暗殺犯についてのの記事なんですね。ハイナー・ミュラーからの続きで、当時ロシアの騒乱について強い興味を持っていて、そのために読んで極めて影響を受けた本です。で、問題の暗殺犯は、スペイン内戦と関係しており、メキシコで20年服役した後、ソ連に行ったものの経歴上どこか厄介視されており、やがてカストロに招聘されてキューバに渡り、「経験を生かして」内務省で刑務所の改善の指導をしてその生涯をキューバで閉じた。いわば、「大文字の歴史」(この場合は英雄の歴史?)に対する、ささやかな別のエピソードとして入ってましたが、題名にふさわしいエピソードでもありました。

 で、まあ当時はフジモリなんてのも容疑者でなくいたし、いろいろ他にもあったんですが。そういえば人質事件からは10年ですね。さて、ベネズエラのことは「ニューズ・ウィーク」で、ミス何とか(どこかの市長だったりした)が大統領になりそうだという記事で知りました。で、ここは予想通り、チャベスのほうが大統領になったわけです。それ以来、いろいろチェックしていました、マルケスの文章も大きかったけれど*8、読売新聞の記事など面白かったですね。

反米大統領チャベス―評伝と政治思想

反米大統領チャベス―評伝と政治思想

 しかし、なんといってもクーデターは大きかった、これは内戦かとちょっと暗然とする間に、形勢があっという間に変わっていくのは驚きでした。基本的にはNHKで少しだけ報道があり、そのたびに何か起こっているのがわかるという感じでした、突然軍の首脳たちが態度を変え始めた時は特に。音楽なんか聞かないくせに「ラティーナ」を買いました。その後石油閉鎖(ゼネスト)がはじまるのですが、これは数ヶ月に渡り、日本語情報がまるで入らないので、プロ・チャベス派のページと、ヤフーから読めた海外報道を照らし合わせて読んでいでいました。この件に関する、マスメディア報道への不信はここに端を発します(正確にはロシア報道から、話題になる前のテレビなどでの記憶から佐藤優は実は信用していない)、まあBBCなどは2003年半ばくらいにはまともになってきましたが。

 http://www.venezuelanalysis.com/
 当時(今も)参照していたプロ・チャベス派のページ。いろいろ充実しています。

 http://agrotous.seesaa.net/
 上のページからの翻訳もあります、もちろん一部しかしていませんが参考にしてます*9

 http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Latin/
 アジア経済研究所の「ラテンアメリカレポート」、ベネズエラについては散々文句言ったけど、昔から重宝しました、今もです。

 http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/
  普通にこれも見てます。

 というわけで書きそびれていたことを一気に書きました、所詮ネット上で集めたことですが、スペイン語なんて、あ、ブログタイトルにある。ただ、この同じ期間に日本で起きたこともまた大きかった。そして現在の関心はどうしてもそちらにあるそういうわけです。だから「エンジョイ」についてもまたそのうち、昨日よんだけどありゃちょっとまずいでしょう。小泉については腐るほど書いているので、勝手に探してください。うーん、わかりやすく私の問題意識を示して議論を理解しやすくする、エントリーのはずだったんですが…個人的な話をしただけでした。それにしてもジジェクは…、色の白いは七難隠すですかね(余計)。

 追記19日

 コメント欄に「ななころびやおき」さんが書き込まれてます、ご参考に。もう一つはイベント紹介です。

ラテンアメリカ、社会運動と左派政権」   廣瀬 純 × 太田昌国
  (龍谷大学)    (現代企画室)
2007年2月8日(木)19時より 廣瀬 純(ひろせ・じゅん)
1971年、東京生れ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程(芸術学)修了。パリ第3大学映画視聴覚研究科DEA課程修了(フランス政府給費留学生)。現在、龍谷大学経営学部専任講師。映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ・ジャボン」(勤草書房)元編集委員。仏・映画研究誌「VERTIGO」(Capricci Éditions)縮集委員。
著書に『美味しい料理の哲学』(河出書房新社、2005年)。訳書にパオロ・ヴィルノマルチチュードの文法』(月曜社、2004年)など。
太田 昌国(おおた・まさくに)
1943年、北海道釧路市生れ。東京外国語大学ロシア語科卒。現在、現代企画室編集長。著書に『「国家と戦争」異説』(現代企画室、2004年)、『「拉致」異論』(太田出版、2003年)、『日本ナショナリズム解体新書』(現代企画室、2000年)など。訳書にジャン・コルミエ『チェ・ゲバラ』(監訳、創元社、2004年)、サパティスタ民族解放軍『もう、たくさんだ』(共編訳、現代企画室、1995年)など。

 次々に誕生するラテンアメリカの反米左派政権
しかし面白いのはチャベスだけではない
住民たちによるクリエイティヴな数々の社会運動とそのダイナミズム
代表性民主政治の外にある自律性とは何か
いまだ知られざる、驚異の政治空間に震撼せよ!

 ★お申し込みは池袋本店1Fサービスカウンターで承ります(電話:03-5956-6111)
★入場料はドリンク付きで1000円です。当日、会場の4F喫茶受付でお支払いくださいませ。


 廣瀬 純 著『闘争の最小回路―南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(人文書院)出版記念トークイベント。

 太田昌国さんはラテンアメリカの政治・社会運動の専門家として有名です。廣瀬純さんは『1968』作品社の中に、アルゼンチンの政治運動の歴史を書いています。「君たちのところの大衆運動は暴力の程度が極めて低いんだね」というアルゼンチンの学生がフランスの68年を見た感想からはじまり、1955年のペロン追放のクーデターから、76年のクーデターによるビデラ軍事政権の樹立*10、時期の反体制運動の発生と展開、そして過激化と崩壊の過程を描いています。この過程も「歴史の悪意」の一つといえるでしょう*11。その後におとずれる民主化の時代にも、ラテンアメリカから暴力や貧困が消え去ったわけではありません、それこそがフジモリ大統領のような「独裁的手法」を頻発させたけれど、同時にそれが破局にいたらなかったのも確かです(もっとも、日本政府にそんな判断能力があったわけではない)*12民主化の時代が、ラテンアメリカ経済危機を境に変化しその帰結としての現在の状況があるとしても、それもまた変わり目にあるのは確かでしょう。私は各国の状況のせいぜいの基準として、無闇に人を殺さないことと、地道に努力しているか程度しか上げられないのですが、後者の判断は極めてむづかしいでしょう。

闘争の最小回路―南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン

闘争の最小回路―南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン

 なお、意外と佐藤優の名前できた人が多かったのですが、やはり総崩れしたロシア改革派に似ているという印象を受けるのですね。*13