産経新聞GJ!(追記14日)(追記17日、もう一回)

 何やら今度のミサイル騒動でわいてきた先制攻撃論ですが、産経が実にタイミングよくやってくれました(正確にはヤフーが原因なのでしょう)w。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060713-00000002-san-pol
 この記事なんですが最後でうっかりイスラエルに触れたため、中東情勢のカテゴリーに入ってしまった(^^ゞ。そこを探していたら見つけたわけで...。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/middle_east_peace_process/news_stories_1.html
 不謹慎だけどさすがに笑ってしまった、わざわざハンムラビの言葉を出す、小泉も笑えるけど。

 ところでイスラエルの国歌は『ハティクヴァ』(希望)*1といいます、元はバルカン半島ユダヤ民謡だったようです。私は『ショアー』の中でギリシャの生き残りのユダヤ人達が歌っているシーンではじめて聞きました。いかにも物悲しいいい歌なのですが、最近ネットで探して聞いたら、「カディマ」という言葉が耳に入ったので今回調べたました。wikipediaによると古代ヘブライ語で、「カディマ」は古代ヘブライ語で「前へ」と「東へ」の二つの意味があるようです。それってヨルダン川西岸地区のことですか?というのはともかく。中道とファシズムのつながりを問題にしている私にはちょっと気になって。ともあれ、この歌は今も国歌としてでなく何か伝えてしまっているようで...。『希望』と『幻滅』はいつもセットですから、要するに...。

 なお私見では今回の事態にもっとも重大な責任のある(そして何かなしえたはずの)外部勢力はEUです。EUはハマスが政権に就いたときにきちんと正当な政権として認めるべきでした、そうしなかったことは、イスラエル政府に(最近流行の)「間違ったメッセージ」を送ってしまったのです。現在の事態はその「メッセージ」の帰結であるともいえます。

 なお、ここ*2で『ハティクヴァ』は聞けます。

 

ショアー

ショアー

 追記・17日

 http://d.hatena.ne.jp/swan_slab/20060716

 swan_slabさんの記事を読んで書きます。、もちろん、このニュースとネットでの本題について横目で見ながらのエントリーでもあったので。イスラエルという国は自ら謳うとおり民主国家であり、今世紀に入っても「法の支配」が一応まだ生きているわけです、ハーレツ紙などにのる激烈な政府批判*3はそれを証明しているでしょう、その上で徹底した報復と「予防的先制攻撃」を含む自衛権の最大限の拡張を原則とした安全保障政策をとりつづけています。今度の事態は1982年のレバノン侵攻の反復であると同時に、その帰結でもあります。されゆえ、そもそものイスラエル成立の経緯とその憲法との関係は極めて緊張しています。周辺の諸国で少しずつ民主化が進んでおり、皮肉なことですが今回のレバノンパレスチナ、皮肉ですが反イスラエル強硬派のイランなどがある程度そうなってきているわけです(シリアは露骨に独裁といっていいし、親米派でもサウジなどがそうですが)。

 イスラエル憲法については、ごく簡単には*4がありますが、

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/report.htm
 日本語ではさしあたってこれしかなかった。『ユダヤ人の国家』であることが規定されていることは決定的でしょう。ただ、成文憲法を持たない(差別的扱いが正当化されうる)ことや『基本法・人間の尊厳と自由』の設立が90年代に達成されたことは重要だと思います。

 問題は『ユダヤ人の国家』ですが、全国民に基本的人権が保障されていることです、このことは皮肉にもだちょうさんの指摘した立憲主義の問題を消してくれます。『ユダヤ人の国家』という前提が、建国に伴う『暴力』に起因する安全保障上の危機の継続とあいまって、第一撃の積極的予防も国内的な人権侵害(占領地、イスラエルのマイノリティ)も両方が正当化されるわけです。それはユダヤ人とそうでないものという明白な線引きが可能にするわけです(ただここでのユダヤ人が国民でない人も含んでしまうのは微妙で興味深いのですが)。さらに社会契約的に国家を創設する国民とその成立後の国民を明確に分けています*5。このような線引きが「憲法」に最初から導入されていることは現政権の『破滅的で自殺的な政策』を容易にしています。

 おそらく『人間の本性』以上に、『人間とは誰か』という問いが問題の中心になっているのでしょう。90年代の和平プロセスの中での具体的な場面で行われた進展が何かを変ええるという希望が失せた(ように思えてしまう)以上、イスラエルがどのようになるかかはもう過去によって決まってしまっているような気もします。

 ただ、これは全ての国家においてここまで明白でなくても共通する問題なのでしょうが。とりあえず(ありふれていますが)考えたことだけです。

 もう一つ、イスラエルの現在の政策が合衆国の支持と巨額の援助なしには成り立たないという点についてはまた。

 新しく入ったニュースを一つ*6

 

迷える者へのガイド (海外文学セレクション)

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  ぱらぱら見た後積んどいたので、ちゃんと読みます。いつの間にか品切れてました。*7