シアタートラムの「ドイツ語圏の現代戯曲」

 あちこちで書いた、シアタートラムの「ドイツ語圏の現代戯曲」シリーズについて補足。これ自体は、ドイツ年がらみの演劇イベント*1の一部のようです。ここではやや補足。

 土曜日のハントケの戯曲『私たちが互いを何も知らなかった時』は大変な優れものですね、セリフなしで百数十人の登場人物がでるという内容で、散文詩ではなくしっかり戯曲になっているところが恐ろしい。あまりにも完成されすぎて戯曲の言葉の自立性が高すぎるのが問題といえばいえば問題ですが、ユーゴ戦争以降政治化してしたハントケの戯曲もぜひ観たい(読みたい?)ですね。ハントケは『観客罵倒』でのデビューから一貫して自己完結的な言語空間(上演空間=劇場)を信頼してきたので、それがどのように変容したのかは気になります、『反復』などにみられる「故郷幻想」とでも言うべきものがそれを支えていたのだとすればそれが崩れた後にどのように書くかは重大な問題だと思うのですが、皮肉な事にハントケの近作で日本でているのはこれだけです。

空爆下のユーゴスラビアで―涙の下から問いかける (『新しいドイツの文学』シリーズ)

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 ちなみに、昔、ジジェクがピーター・ハンドックなる人を批判してました(笑)。